秘密の館
古びた扉を開いた先には、高野 リョウが待ちわびていた。
「お乗りください」
高野が、丁寧に車の扉を開いてくれた車内の中は、相変わらず、臭う。加齢臭というやつが。
お爺ちゃんもお婆ちゃんもこの車に乗るのだから、当たり前だ。
少なくとも、母さんの車内のタバコ臭い香りよりは、ましな方だった。
海斗が車に乗ることを確認すると、高野は運転席につき、素早くエンジンをかけると、この真っ白なリムジンは、走り出した。
木、木、木、これまた木。
窓の外を海斗は、つまらなく見つめる。
古びた木々を抜けると、ど田舎のつまらない田んぼだらけの細い道路に出た。この道路は、いつ治すのだろうか? 海斗が幼い頃から、相変わらずにボコボコとした道であり、車を走り進める度に、その振動で体が大きく上下に揺れた。
しばらくの間、この田舎道を進み続けると、ようやく、一つの小さな学校が目に見えて来た。

