彼が涙を流した理由
誰も来ないので、出口君とずっと話していたから、だいぶ打ち解けてきた。





「ねぇ、出口君」





「何?」






「下の名前、裕之っていうんだよね?これから、裕之君って呼んでもいい?」





すると、出口君は少し驚いたように目を丸くしたあと、優しく微笑んだ。





「いいよ、あさひちゃん」





ドキッ





今、“あさひちゃん”って……あたしのこと、“あさひちゃん”って………





ただ、名前を呼ばれただけなのに。





裕之君に呼ばれると、すごいドキドキする……っ。





「僕、あさひちゃんと話してるの、すっごい楽しい。」




「えっ!?あ、ありがとう……あたしもだよ。裕之君、聞き上手だし!」





「そう?ありがとう」





優しく微笑む裕之君は、すごい優しい人なんだって改めて思った。





図書委員、楽しくなりそう……





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