きみの声を聞かせて



「そして今、私が紹介しているとおり小林さんは事情があって話すことができません」



先生がそう言った瞬間、ざわざわしていたクラスが一気に静かになった。



そんな中でも先生は話を続ける。



「でも耳はしっかり聞こえてますから皆さんの声は聞こえます。



皆さんへの返答は筆談になりますがコミュニケーションはとれますのでいっぱい声をかけてくださいね!



よろしくお願いします」



先生の最後の言葉を話し出した瞬間、わたしは頭を下げて心の中で自分でも呟いた。



そして頭を上げると、みんなに向かって微笑んだ。



「小林さんは窓際の一番後ろの席ね!



千葉さん!学校のこといろいろ教えてあげて」



「はい!」



わたしは自分の席に歩みを進めて席に着いた。



篠宮先生はわたしが席に着くのを見届けると、今日の予定を伝えてホームルームを終えた。



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