Kiss of a shock ~涙と~
父は、ちょっと待つよう言いつけて立ち上がると、キッチンに向かった。


ガチャガチャと何かをしているな、とそう思っていたけれど


束の間で戻ってきて、それから万理香の髪を撫でて言った。


「万理香、愛してるよ」


シューーー


という、何かの発する音と、鼻をつく匂いに気付いたけれど


万理香は知らないふりをした。


泣き出しそうな父の手を握り締めて、目蓋の裏に父と母の面影を刻んだ。


「万理香も、大好きだよ。」


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