Kiss of a shock ~涙と~
直人は、まっすぐに万理香を見つめた。


この女のどこに惹かれたのか、なんて愚問だろう。


女と男の惚れた腫れたに、理由なんか存在しない。


ただ―、あいつがこの女を「愛してる」のかは、謎だけれど―。


「熱、あるんじゃない?」


直人はため息を零して、万理香の顔から視線を逸らした。


「えっ?」


「え、じゃなくて、熱あるんじゃないかって言ってんの。分かるだろ、自分の事なんだから。」


そういえば―。


何だかふらふらするような、足元がおぼつかないような、視線がくるくると回るような・・・。


え?


熱あるの、私?!


「ええ、何で分かったんですか?」


直人は髪をかき上げて、灰皿に置いてあった煙草を取った。


「顔が紅いの。」


万理香は頬に手を当てて、また「えっ」と声を上げた。


「客間があるから、横になれば?もう遅いし。泊まってけば良いよ。」


「えっ!?」


再び、声を上げて、猫のように目を丸くした。
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