Kiss of a shock ~涙と~
客間、って言ったって他人を泊めたことは一度もない。


じいちゃんの頃から置いてあった、布団を出す為に襖を開けてみた。


けど、お世辞にも―他人をそれに寝かせて良いといえる状態ではないことに・・・今更だけど気が付いた。


そりゃそうか・・・。


もう十年チョイ、干しも洗濯もしてないもんな。


女を見遣りため息をついて、言った。


「こっち。」


女は小さく頷いて後をついてくる。


こいつは、人を疑うって気持ちはないんだろうか。


俺と知り合いと言っても、海外で一回、それから国内で一回、以上2回の対面だけでお互いに名前を知ったのもついさっき。


そんな男の家で風呂に入り、男の用意した服を着て、こっちに来いと言われるがままに後をついてくる。


馬鹿な女だよ。


けど・・・。


健二と・・・は・・・・


どういう関係なんだ、って・・・本当は聞きたい気持ちがある。


なのに、聞けない俺も相当のチキンだ。
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