Kiss of a shock ~涙と~
サァァァッ


雨足が強くなり、ふたりの小さな身体を冷たく浸していく。


だが、健二は向かい合ったままじっと、直人を見据えていた。


「・・・健二。」


「俺は・・・父さんのとこに行く。」


健二の言葉に、直人はハッと顔を上げた。


父は、子供など必要としていない男だった。


だから、ふたりをこうして祖父の家に預けたまま、およそ逢いに来る事もなく、誕生日やクリスマスにお祝いの品を贈ってくるようなこともない。


子供に対する愛情など、僅かも兼ね備えていないそんな男だった。


「けど・・・健二。」


「お前と一緒に暮らすなんて、もう二度としない!」


かみつくように言われ、思わず身じろいだ。


お前―と、そう呼ばれた事にも、言葉が詰まる。


「お前は、お前の母さんのとこに帰れば良い。」


直人の母の姿など、見たこともなかった。


ずっと、自分と血の繋がった同じ母の子供だと思っていた。


ただ、母が、直人に対してはとても冷たい態度で、微笑む事すらなかったことにだけ、子供心に違和感を覚えていた。


だが、こいつにはいるのだ。


母親が。


自分の知らないところで、きっとその母と逢っていたに違いない。


そして、健二のことを笑っていたのだろう。


何も知らない、愚かな子供のことを―。





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