Kiss of a shock ~涙と~
ズキッと、身体のどこかが痛んだ。


気付かないふりは得意のはずだ。


そう思って、視線を逸らした。


「あ、あのスエット・・・。」


その呟きに、嗚呼と頷いて答える。


ごく自然体を装いながら。


もう、素を出すなんてことがあってはいけない。


ここは、健二のいる場所なんだから―。


とはいえ、万理香の手にスエットはない。


服は着替えてきてる。


そうか、洗って持ってくるにしたって、時間が・・・。


「別に捨ててくれて良いよ。」


そう、言い置いて万理香に背を向ける。


鍵を手早くかけながら、背中に万理香の気配を感じていた。


「そんな・・・あの、どこか・・・へ?」


足早に万理香の隣を黙って通り過ぎる。



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