Kiss of a shock ~涙と~
健二の言葉だけが、取り残されて姿が見えなくなってからも


万理香は身動きできずにいた。


直人にきっぱりとふられたんだということ―、今更それを実感する。


1週間、そういえば記憶が戻ってきた。


ふられて、哀しいはずなのに、おトイレに行きたくなったり、おなかが減ったりするのが


また哀しくて泣いた。


スキだという気持ちは、時間が経っても消化されなくて


消えない想いが、消せない感情にとりつかれていた。


哀しすぎるくらいに―、まだ好きで・・・。


健二に逢って、あの人に似た、暖かさを装った冷たい眼に、胸が痛んだ。


もう、どうすることもできないって分かってるのに・・・。


『君のことが好きなんだ』


あの言葉を直人さんが言ってくれてたら・・・って考えてる自分がいる。
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