Kiss of a shock ~涙と~
「いかがでしたか?」


車に戻ると、運転席の陣内が感情を隠して言った。


「ああ」


そう答えて車に乗り込む。


「憔悴しきってたよ。」


苦笑して髪をかき上げた。


「直人さんにこっぴどくふられたんですね。」


「・・・」


その言葉に、返す言葉を捜して、健二は押し黙った。


あいつが、俺に遠慮して、万理香をふったっていうんなら・・・許せない。


俺の方が、金も地位も名誉も持ってる。


あいつが持っていないものを何でも・・・女だって俺の所有物のひとつだ。


直人が持てないもの、持つ事のできないものを俺は手に入れることができる。


それなのに―。


まだ、俺を馬鹿にするのか・・・?


俺よりも優位に立つ事が許されるとでも―?


「・・・陣内。」


「はい?」


走り出した車窓から外の寒そげな景色を見遣りながら言った。


「直人を・・・探して。」
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