Kiss of a shock ~涙と~
健二さんが、誰かに拘るのははじめて見た。


それが、万理香。


小泉 万理香という、どこにでもいるような素朴、といえば聞こえはいいけど、どこか田舎臭い純朴そうな女。


健二さんは、「直人」にとりつかれているせいだと、思ってるかもしれないけれど・・・そうじゃない。


だって、直人の存在を知る前から彼女のことを気にかけていた。


誰にも、誰のものにもならない、健二さんが―。


飛行機の中で、陣内はイヤホンから流れてくる音楽を聴きながらため息を零した。


あの人を誰かのものにするために動くのなんて、まっぴらごめんだ。


誰のものにもならない―、それが分かっているからどんな女を抱いていても気にならなかった。


気にならないふりができた―のに・・・。
< 259 / 347 >

この作品をシェア

pagetop