Kiss of a shock ~涙と~
向こうのことは全て忘れるために・・・ここに来たのに、煩わしい。


ため息交じりに、酒を煽る。


「・・・なんだ。」


じっと見つめてくる陣内の顔を見ずに、苛立って問いかけた。


「・・・いえ、別に。」


別に、ふふっと微笑んでグラスを手に取る。


「ただ、やっぱり兄弟なのね、って思って。」


ぎくりと、直人の体が強張るのが分かる。


「ああ、あなたと健二さんの関係、聞いてるわ。」


「・・・健二が話したのか・・・。」


「そうじゃなきゃ、知りえることのできないお話でしょ?」


「・・そうだな。」


カラン


グラスの中の氷が音を鳴らす。


「これは・・・健二さんには言えないけど・・・あなたと健二さんってどこか似てるわ。」


「・・・へぇ?」


冷たい瞳がこちらを向く。


そのぞくりとするような視線は、健二に似て女を煽る・・・欲情させる目だ。


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