Kiss of a shock ~涙と~
祖父は凍えるように首を振った。


直人は微笑んで言った。


「じいちゃん、ありがとうな。」


俺は、もういい。


これで、何も俺を縛るものはないんだ。


ある意味、自由になった。


そういうことだよ。


祖父の頬を辿る涙とは違う透明な筋を見つめて、直人は目を閉じた。


泣いた事のない瞳から、大粒の涙が零れていく。


雨が上手に隠してくれるように、祈りながら思い返していた。
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