佐藤くんは甘くない
「もう、6月も終わりそうですしね」
私がそういって、笑いかけると……佐藤くんは、何かぼうっと物憂げに月を見上げて、
「早く、終わればいいのに」
自嘲の余韻を残して、口元を寂しそうに上げる。
その横顔が、あまりに普段の佐藤くんとはかけ離れていた。
何というか、自虐的で、何もかもが嫌いだとでも言うようで。私は、恐る恐る彼に問いかける。
「……6月は嫌いですか?」
佐藤くんは、答えに詰まったのか、眉をぴくりと震わせた。
けれど、小さく息を吐きながら、今は遠い思い出をなぞる様に、
「───嫌い」
はっきりと、言った。
「大っ嫌い、一番、嫌い」
今にも、泣きそうな声で。
ぎゅうっと拳を握りしめて。
何かを我慢するみたいに、そういった。