佐藤くんは甘くない
いつものように、柚月は部屋のベットにいた。
僕が、今お母さんがお医者さんを迎えに行ったからね、大丈夫だよ。そういって声を掛けた。焼ける様に熱くなった手を握りながら、何度も、何度も声を掛ける。
僕はお兄ちゃんだから、妹を、柚月を、安心させなくちゃ。
彼女の顔を覗くと、その瞳は真っ赤だった。
瞳の周りは、乱暴にぬぐったのか擦れて赤くなっていた。
かすかに、口元が動いた。
呼吸する息が荒いせいか、うまく聞こえない。僕は、そっと彼女の口へ耳を傾ける。
そうして、聞こえた。
……ごめんなさい。
お兄ちゃんのおたんじょうびなのに、柚月のせいで、だめになって、ごめんなさい。