佐藤くんは甘くない
柚月が、玄関の前で倒れていた。
まるで、僕を追いかけるために動かない体を無理やりに動かして、やってきたみたいに。
一瞬で、血の気が引いた。
慌てて駆け寄って、柚月の肩を揺さぶる。
柚月、柚月、柚月、柚月、起きて、ねえ。ねえってば……!!
何度も、何度も、何度も、彼女の肩をゆすった。
いつからそこにいたのだろう、柚月の体は凍えるように冷たかった。
嫌だ、ごめん、ごめん、柚月、ごめんね、怒ってるんだよね、ごめん、ごめんなさい。だから、だから、お願いだから、目を開けてよ。
何度も何度も、泣き叫びながら柚月の肩をゆすった。
嫌だ、嫌だよ、お願いだから、僕がいけなかったんだ。僕が全部悪かったんだ、だからお願いだから、目を開けてよ。
お兄ちゃんって、呼んでよ。
もう一回、呼んでよ。
酷く頭が痛かった。割れるみたいに、痛かった。
僕は、取り返しのつかない過ちを犯してしまった。
約束を守らなかったから、罰を受けたんだと。
柚月が苦しいとき、辛いとき、悲しいとき、そばにいてあげなかったから、神様が僕に罰を与えたんだと。