佐藤くんは甘くない



───ごめんな、さい。



くちから、ぽろりと声が漏れる。


───ごめんな、さい。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。



何度も何度も、何度も、何度も、何度も、謝った。


許されるわけがないのに、それでも謝った。

自分が大嫌いだった。

鏡を見るたび、いつものように変わらずにそこにいる自分が、大嫌いだった。



落ち込む自分が、大嫌いだった。

笑おうとする自分が、大嫌いだった。

弱すぎる自分が、大嫌いだった。

大嫌いだと思う自分が、大嫌いだった。


全部、消えてしまえればいい。

無くなってしまえたら、って何度も思った。




僕のせいで、柚月は落ち込むことも、笑うことも、弱さを受け入れることも、嫌悪することも、できなくなったのだから。




< 294 / 776 >

この作品をシェア

pagetop