佐藤くんは甘くない



想う思いが、軽いと誰が決めつけた?


誰かの心を動かすのは、ただ一つ、自分の意志の強さだけ。


そこには、恐怖も不安も欺瞞もあるだろう。

だけれど、それを乗り越えなくては手に入れられないものがある。



積み重ねた辛さが、軽いと誰が決めつた?


どんな結末を迎えようと、彼の過去にけりをつける方法は、ただ一つ───









「───逢いに行きましょう」







「え?」


もう一度聞き返す佐藤くんの手を握りしめて、私はじっと真っ直ぐ彼の瞳を見つめる。ぐらぐら揺れていたはずの瞳が、私を捉えていく。



「佐藤くんのお母さんに、逢いに行きましょう」




その方法はただ一つ、消えた母親と再会することだけ。




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