佐藤くんは甘くない


時刻は、4時20分。

通り過ぎる、ランニング途中のおじいさんと目が合って私はぎこちなく微笑みながら、視線を逸らす。


私はもう一度腕につけた時計を見て、もう一度ため息をついた。


普段ならまだぐっすり夢の中にいるだろう、この時間になぜ私が駅前にいるのか。答えは簡単、今日が平日だからである。

母親に会いに行こう、と私が提案した月曜日から、この金曜日にいたるまで、私がしたことと言えば、日にちを追うごとに体調を悪そうにすることだった。


仮病を使って、木曜日の夜、体調が悪そうな演技をして自分の部屋へ。


瀬尾にすべての事情を話して、協力してほしいと願い出たのは私ではなく、佐藤くんだった。


大体、私を起こしに来るのは瀬尾だ。瀬尾が、私のお母さんに体調が悪いので今日は学校は無理でしょうと言ってくれればおそらく、私はその日、休むことができると踏んで。


佐藤くんも同じように、体調の悪いふりをして明日休むことをおじいちゃんに伝え、風邪をうつすといけないから入ってこないように告げ、金曜の学校は休む。


わざわざこんな回りくどい工作をしたのには、わけがあった。






佐藤くんの誕生日は、土曜日だ。


後一日と少し。









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