佐藤くんは甘くない
佐藤くんのお母さんからの、大切な手紙。
それは文庫本くらいの束になるほど、積み重ねられていた。
手を伸ばしかけて、私は寸前で止まる。
顔を見上げて、
「いいんですか?」
私は聞く。
私が読んでも、いいんですかと。
読まれることは、つまり知られること───それは何より佐藤くんが恐れてきたことだった。
佐藤くんは、ぎこちない笑みでそれでも、強く頷く。
「……いい。結城になら、いいよ」
その顔は、最初に出会ったころの佐藤くんからは想像できないほど、大人びていた。私は、小さく頷いて、
「ありがとう、佐藤くん」
その手紙を受けとる。