佐藤くんは甘くない


後ろを振り返る勇気なんてなくて、ぼうっと、ドアにうつった佐藤くんと私の影を見つめたまま体が固まる。


とん、と私の肩に温かいものが当たる。

佐藤くんは私にもたれかかるみたいに、私の肩に頭を乗せているのだと、理解するのにさえ時間がかかる。


「さと、く、」


声が勝手に震える。

バカみたいに心臓が鼓動を打って、気を抜いたら足の力が抜けてしまいそうだった。


「……ごめん、さっきの嘘」

「ぁ、」

「本当は、ずっと結城のこと、待ってた」


弱り切った声が、耳元で聞こえる。


「俺はあんまり人の気持ち、わからないから……どうして、結城があの時怒ったのか、何度考えても、思いつかなかった」


佐藤くんがもう一度ごめん、と小さな声で言った。


きっと、佐藤くんのことだから、何度も考えて、考えて、でもやっぱりわからなくて、不安な気持ちでいっぱいにさせてしまったのだろう。


……全部、私が悪いのに。

私が、もっとちゃんとしていれば、こうはならなかった。



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