佐藤くんは甘くない


さっきから佐藤くんの落ち着きのなさが、やけに目に入る。

この短時間で、佐藤くんの新たな表情を見たといってもいいくらい、百面相を繰り広げている。


何度も私のほうを見ては、私と視線が合うと、慌てて視線をそらす。そんなことを何度も繰り返したのち、


「い、今の、……もい、っかい」


まるでバンジージャンプ飛ぶに覚悟を決めた芸人みたいな顔をしたと思ったら、佐藤くんはどつ前そんなことを言い出した。


「は?」


予想外すぎる発言に、私は容赦なく聞き返してしまった。

すると、佐藤くんは聞き返されたことがよほど恥ずかしかったのか、それとももう一度いうことが恥ずかしかったのか、泣きそうな顔で私のことを睨み付けてくる。嗜虐心をそそられる表情だった。


はっ、何考えてるんだ。

……私別にSとかではないけれど、佐藤くんのその表情のせいで、何かいけないものに目覚めさせられそうになった。


「今の、も一回」

「えっと……」


私何言ったっけ。




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