佐藤くんは甘くない
私よりも大きくて、女の子みたいに白いのに、少しだけ角ばっているてのひらも。
「さっきから何言おうかなぁーって考えてたんだけど、」
「……うん」
いつもより少しだけ低い、心地の良い声音も。
「劇のセリフを言うのもなんだから、今の俺の率直な気持ち、言ってもいい?今を逃したら、たぶん、もう素直になれない」
「……佐藤くんツンデレだもんね」
「うっさい」
恥ずかしくて顔をそらしてしまうその横顔も。
知れば知るほど、近くにいればいるほど、私は彼が好きになってしまう。
今だって、本当は心がぱんぱんになるくらい、佐藤くんが好きなのに。
「前にもこんなこと、言ったかもしれないけど。……俺、結城に依存してるんだ。自分でもびっくりするぐらい。今回の件で、思い知らされた。
たぶん、俺にとっては結城は道しるべ、みたいなもの。だから、いなくなったら……迷子に、なる」
佐藤くんは何度か緊張気味に深呼吸を繰り返して、情けなく少しだけ震えてしまう私の右手の薬指にその指輪を通しながら、言うのだ。
「───だから、結城さえよければ……これからもずっと、隣がいいよ」