佐藤くんは甘くない


頭が、くらくらする。

胸が苦しくて、今にも壊れそうだ。


次に続く言葉も、どうすればいいのかもちゃんと考えていたはずなのに、全部どこか遠くに吹き飛ばされてしまった。



佐藤くんのばか、ばか、ばか、ばか。

そんな言葉を私にかけてくれるなよ。



私は佐藤くんが思っているほど、聖人みたいな人間じゃなくて、ただの一人の人間で、好きな人に好きも言えない意地っ張りで、だから。


……だから、佐藤くんのその言葉が───私が好きだから、一緒にいたいって、ずっと一緒にいたいって、言ってくれるんだって、勘違いしてしまう。


「……結城は?」

「あ、」


少し頬を赤く染めた佐藤くんが、淀みないきれいな瞳で私を見上げる。


佐藤くんは、私を心の支えにしていて、それで私が近くにいないとだめで───でも、その役割は私じゃなくなる日が来るなんて、私じゃなくても代わりになれる人がいるだなんて、思ってもいなくて。


「結城は?」


佐藤くんが握った手のひらに力を込める。



「わ、た……しは、」



私は───




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