17歳の遺書

まだまだテンションの高い美帆に連れられて教室に入る。





『おはよー!』



と南さんのほうにかけていく美帆。






俺はとりあえずかばんをおき自分の席に座る。
滅多に座らない席なのに、とっても落ち着くこの席は、教室全体が見渡せる。





黒板には体育祭の文字。
練習中の写真とかも掲示してあって、
教室も全部体育祭色に染まってた。



しばらく、黒板の字を見つめていると、



『優太ー、はちまきあげる。』



と言って俺の前に座る悠希がきた。



黄色に輝くそれを受け取る。


『おう、さんきゅ。』



と俺がお礼を言うと、にかっと太陽のような笑顔で笑う。

男のくせに、可愛すぎるだろ。
茶色の髪ににメッシュを入れたよくセットされた髪が輝く。






『俺さ、今日めっちゃ走るから、
よく見とけよ。』


悠希の言葉は俺の残りの命を知って、
俺の心に刻みつけるように言う言葉で



『転ぶなよー、期待して見ててやるから。』




『おう、任せろ!』




そういって笑う悠希が羨ましかった。
こんな男が、美帆の隣にいたら、もっと幸せなんじゃないのかな?





今はそんな事、いや、こんな大事なこと考えてられなかった。







......ガラガラ、





『はいー、席ついてー』

という先生の声が聞こえたので、悠希はまた後でな。と言って帰っていった。





『ただいま。』
と言って帰ってくる美帆。
美帆の頭にはもうはちまきが付けられていて、輝くその髪に黄色く季節外れのひまわりが咲いているようだった。



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