方言男子に恋をした
しかしどこかで素直に喜べない自分がいたりする。

年下の弟に先を越されたというのもある。
焦りもあるし、実家からのプレッシャーもないわけでない。

我ながらひどい姉だと思うけど…。

気を抜けば溜め息まで出そうなオーラを醸し出す私に、今野常務は「松田さんはいないの?」なんて聞いてくる。

期待にはそえませんよ今野常務。
相手以前にここ数年そういう関係にあったことなかったですから…。

とも言えず。


「いませんよ。もしいたとしても今野常務には言いません」

「ひどいね松田さん」


冷たい返しに今野常務は、ははっと乾いた笑い声をあげた。
そしてこちらをじっと見つめた。


「あの…私に何かついてます?」

「俺はどう?」

「は?」


普段からよく分からない人だとは思っていたが。
まさかここまでとは。

呆気にとられる私を放って、今野常務はクスクスと笑いだす。
その微笑みがやけに妖艶だ。


「…冗談にみえる?」

「あ、あの…」


大丈夫ですか?色々と。

なんて仮にもお偉い様に聞かない、失礼な問いをしようとした時。

ガチャッと少し急いだ風に部屋のドアが開いた。
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