大好きな君へ。
 多目に用意したサンドイッチをパックに詰めた。

残り物だけどお昼代節約にはなる。
まだ学生の隼と保育士に今年なったばかりの私。

幾らかの貯えはある。
でも贅沢は出来なかったのだ。
宿は格安旅館を図書館から借りて来た地図の中に見つけた。

まさかの大発見に二人共浮き足だってすぐに電話したほどだった。

相部屋……って言うか、二人用の部屋を四日間予約した。
隼との同室は又何かやらかしそうで怖いけど、結夏さんと隼人君の御霊成仏のことだけ考えようと思っていた。




 私達は堅実にことを進めていったのだった。


幸い白装束は結夏さんの御両親から借り受けた。
それだけでもかなり押さえられたと思う。

私は本気で二人のための巡礼をしようとしていたのだった。




 又パンと牛乳とサプリメントだけの朝食だ。

それでも、健康を気遣い心を込めた内容に隼は大喜びをしてくれた。

片付けた後でキッチンを磨く。
ついでに排水溝のステンレス製の篭の中に十円玉を入れた。
銅が滑りを防ぎ、イヤな臭いの発生を制限してくれるそうだ。


冷蔵庫のコンセントを抜く。

五日間も使用しないのだから電器代が勿体ない。

だから、悪くなる物は全て胃袋の中に入れた。


昨日のハンバークと今日のサンドイッチに全ての食材を投入してドリンク以外を空にしてしまったのだった。




 幾つかの家事をこなして時計を見ると、五時近くにになっていた。


「そろそろ行く?」

声を掛けると、隼が頷いた。


私達は荷物を肩に掛けてマンションを後にした。




 その後隼と一緒に駅に向かい、一番電車の住民となる。

少しでも早く一番札所に到着したかったのだ。

私達は是が非でも五日間で全行程を回るつもりでいたのだった。
それは一日でも早くお焚き上げをして、隼人君を賽の川原から救い出してあげたかったからだった。




 駅に近いのマンションだから結構便利。
だけど隼は雨の日以外は乗らないそうだ。

大学の最寄り駅から無料のスクールバスがあり、それに乗れば良いに隼はバイクを走らせるのだ。


そのバイクも結夏さんと購入した物だそうだ。
それで二人で良く出掛けていたそうだ。
何処へ行ったのかなんて聞けやしなかったけど。


ストーカーしていた彼は、スーパーのアイスクリームショップで二人の行動を観察していたようだ。

私は彼の話で想像するしかなかったのだった。
だから余計に嫉妬したのかも知れない。




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