大好きな君へ。
 大手スーパー系列のコンビニでは沢山のことを教えてもらった。


一万円をレジの中に置かない主義なんだ。

少し貯まったらすぐに裏にある地下の金庫に入れる。
そうすることで、強盗などの被害額を少なくすることが出来るそうだ。


アルバイトが交替する時には、必ず全てのキャッシュやカード類を数える。
これも犯罪を無くすことに繋がるようだ。


二台あるレジの一台を止め、小銭を計る木枠にはめて数える訳だ。


時々、其処以外のコンビニ強盗の被害額の多さに驚愕する。


(何故金庫に仕舞わないんだろう?)
僕は何時も思っていた。




 そんなこんなでお金を貯めて、結夏とニューヨークに行くための準備は整った。

僕は何とか二人分を旅費を工面したのだ。


僕は結夏とお揃いのフィーチャーフォンで早速メール送った。

でもいくら待っても、何度送信しても連絡がつかなかったのだった。

だから仕方なく、僕だけが行こうと思っていたのだった。




 結夏が亡くなっているとも知らず、僕は市役所へ婚姻届けを貰いに行った。


結夏はすぐに二十歳になる。
だから同意書は僕の分だけで良いと思ったのだ。
それだけですぐに結婚出来ると考えていたのだ。

結夏と連絡が取れなくなったことは気になる。
それでも夏休み中に行かなくてはならなくて……

結局僕一人で両親に会うためと、戸籍を選択すために出発したのだった。




 僕は両親の前で恋人が出来たとノロケて、今すぐにでも結婚したいとも打ち明けた。


両親はどんな娘かと盛んに聞きたがる。

僕は更にデレデレになって、結夏の魅力を語り出したんだ。


叔父に、保育園時代からの仲よし三人組の話は聞いていたらしい。
その一人だと言うと目を細めた。


『此処にある、その他の欄に名前を記入して捺印すればそれが同意書と同じだと聞いてきた』

僕はそう言いながら、その欄に指を運んだ。


『何だか不思議だわ。隼が恋をして、そのお相手があの結夏さんだなんて……』
母はそう言いながら泣いていた。




 『少し待っていれば二十歳になるのに……』

母は笑っていた。


『それが待てるようなら苦労はしないよ』


『それだけ本気だってことだな』
父も言ってくれた。


『僕が幸せになりたいだけなんだ。それだけ結夏を愛しているんだ』
僕は両親の前で、恋人宣言をしてしまったのだった。




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