大好きな君へ。
 その大女優と呼ばれている人は母の姉だった。
僕の母は、その女優が売れ始めた頃付き人だったらしいんだ。


とても仲の良い姉妹で、二人で渋谷センター街を歩いていた時にスカウトされたようだ。
その人はマネージャーとなって、姉を一生懸命に育てたそうだ。


本当は二人共デビューさせたかったようだ。
でも母は芸能界より愛する人を選んだのだ。


その女優は連ドラの主役に抜擢される前に、一年間のブランクがあったようだ。
本人やマネージャーの話では、アメリカで演技の勉強をしていたようだ。
でも其処には母も居たらしい。
そして母はそのアメリカで僕を出産したんだ。

極秘に帰国した時に、僕も一緒だったようだ。
でも僕は彼女の妹に抱かれていたのだ。


見た目が似ている姉妹だからこそ、そんな噂が小さな時から付いて回っていたのだった。


だから僕は常に、そんなネモハもないデマに付き纏わられていたんだ。




 僕の両親がカルフォルニアに転勤した際、暫く帰って来なかった『怜奈』をマネージャーはイラつきながら待っていた。


そして僕を連れて帰国した後に『怜奈』は復帰した訳だ。


『怜奈』の僕の可愛がりようは相当な物だったそうだ。
だから『怜奈』の子供説が噂されるようになったようだ。


だからマネージャーは、母が傍にいることを好ましく思っていなかったようだ。

だけど、僕を預ける保育園が無いから仕方なくく一緒に移動していたようだ。


 両親は今ニューヨークで暮らしている。

父は商社で働いていて、パートナー同席でのパーティなども多いんだ。
だから母は僕から目が離してしまうことを悩んでいたんだ。


メイドを雇えば良いってものでもないらしい。


その頃アメリカでは、預けた子供への虐待が世間を賑わしていた。

母は僕を見知らぬベビーシッターに預けることを躊躇ったんだ。

だから次の海外転勤の際に、何時も僕の傍にいた叔父に預けられたんだ。


叔父は僕を物凄く可愛がってくれていたのだ。
だから安心して旅立って行ったのだ。


叔父は父の弟で団体職員だった。
だから忙しかったんだ。


営利法人と公務員を除いた団体の職員でNPOなども含まれているようだ。


僕は叔父が何処で働いているのかなんて知らない。
可愛いがってもらっているだけで満足していたのだ。




< 27 / 194 >

この作品をシェア

pagetop