大好きな君へ。
 現場検証の日。
階段の近くから見つかった風化したティッシュの塊は、ことが終わった後で階段を登りながら彼が落とした物のようだ。


すぐにDNA鑑定がなられた結果、データベースでヒットしたのが彼だったのだ。




 彼は以前、無実の罪で逮捕されていた。
彼の弟である孔明さんの話では、どうやら冤罪だったようだ。
だから私は孔明さんのお兄さんの無罪を信じているのだ。


孔明さんはその時一緒にいたそうだ。
でもトイレに行った。
その後で警察官に連行される場面を目撃してしまったそうだ。


それは少年達が仕組んだ万引きだったようだ。

コンビニ内で少年達はマンガやDVDなどをカバンに入れ万引きゲームで楽しんでいた。


でも店員の行動を警戒した一人が、孔明さんのお兄さんの袋に品物を入れたのだ。


逮捕された少年達が孔明の兄をリーダーだと言ったのだ。

だから一緒に捕まってしまったのだった。


少年達は今までの万引き行為は全てリーダーに指示されてやったことだと自供したのだ。


幾ら無実を訴えても、誰も信じてくれかなった。
だから荒れていたのだった。


その時少年達は全員中学生で、一斎の罪に問われることのない十四歳未満だったのだ。
だから孔明さんのお兄さんだけが刑に服したのだった。




 彼は孔明さんが結夏さんを好きなことを知っていた。
でも彼も、近所に住んでいた結夏さんに好意を抱いていたのだ。

でも彼は、結夏さんも疑いの目で見ていると感じたらしかった。
万引き犯のリーダーのレッテルはそれほど厳しいものだったようだ。




 結夏さんがストーカーに怯えている事実も孔明さんから聞いて知っていた。

だから犯行を思い付いたようだ。
所謂腹いせだったのだ。


顔を隠して誰だか解らなくすれば自分が捕まることはない。
そう判断したようだ。

万引きで罪を着せられた恨みを、ストーカーの仕業に見せかけて結夏さんに仕返しをしたかったのだ。




 それでも解らない。
幾ら考えても解らない。


あの太鼓橋を渡たらなければ、きっと結夏さんは無事だったはずなに……




 きっと結夏さんは帰り道を塞がれたんだ。

彼の家は結夏さんの家の傍だから、そっちを通す訳にはいかなかったか?


だから結夏さんは太鼓橋を渡ってしまったのだろうか?


結夏さんが家に辿り着いた時には、かなり危険の状態だったに違い。

だから亡くなってしまったのだろう。

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