王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
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「……ちょっと、何考えてるの?」
夕食を終えて、ソファに座って先程の小説の続きを読む瑛莉菜に、稀斗が後ろからひっついている。
瑛莉菜を抱き込み、肩に顎を乗せて一緒に本を覗き込んでいた稀斗の手が、いたずらに動き始めたのだ。
「んー? いや、瑛莉菜があんまりかわいいから。ふたりきりになると、きみをめちゃくちゃにしてしまいたくなるなーって考えてる」
「ばっかじゃないの! 稀斗が言うといやらしいんだから!」
ウィルフレッドの台詞をてらいもなく引用したりして、こっちが恥ずかしい。
瑛莉菜のお腹の辺りをもぞもぞと這っている手の甲をつねってやると、稀斗は不満気に唇を尖らせる。
「なんでだよ、ウィルと言ってること同じだろーが」
「ウィルフレッドさまはもっと健全で高潔で紳士的な方でした!」
それこそ、あの7日間の稀斗は、ものすごい紳士だった。
よくよく考えればひどく無防備な行動をとっていた瑛莉菜を、優しく受け止め、最後の不可抗力だったあれを除けば、キスのひとつもせずに待っていてくれたのだ。