王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
「違うから。いつもは、もっと……こんなんじゃないから……」
熱を燻らせた漆黒の瞳に見つめられ、居た堪れなくなって目を伏せる。
「別に、どこも変じゃねーよ」
稀斗はそう言って慰めるように髪をなでてくれるが、瑛莉菜はぶんぶんと首を振った。
本当に、これまでの経験とはまったく違うのだ。
稀斗に触れられると、どこもかしこも溶けそうに熱くなって、その波に抗うことができなくなる。
目に映るのは彼だけで、他には何も考えられない。
彼のすべてに翻弄されて、爪の先まで稀斗の思うまま、彼に与えられる甘い毒に酔いしれて、ただ溺れることしかできないのだ。
彼と出会うまで、自分は恋愛には淡白な方だと思っていたし、恋人と愛し合う途中でも、どこか冷めた部分があった。
身体はそれなりに熱を持ちながらも、心は冷静だったのに。
それなのに、稀斗が相手ではそうもいかない。
稀斗の腕の中でぐずぐずに溶かされてしまう自分を彼がどう見ていたのかと思うと、目が覚めたとき、いつも恥ずかしさで身悶えしたくなる。