王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

「ほんとは、もっと余裕とかあるし……いつもはちゃんと、男の人のことだって……んむ!」


稀斗に鼻を摘ままれて、伏せていた目を上げる。

不機嫌そうに唇を尖らせた彼と目が合って、瑛莉菜はようやく自分の失言に気が付いた。


(ああ……ほんとに稀斗のことになるとダメだ!)


今までの恋愛も、経験も、何ひとつ役に立たない。

まるで、彼に初恋をしているみたい。


「あのな、瑛莉菜の"いつも"は俺としてるときなの。俺の前では、俺だけの瑛莉菜だろ。かわいくて、色っぽくて、誰にも見せたくない」


稀斗は摘まんでいた鼻から指を離すと、叱るように、そこに甘く歯を立てる。


「……ごめん」


恋人にここまで言わせてしまうなんて、なんだか情けない。

瑛莉菜が好きなのはもちろん稀斗で、それは他の誰とも比べものにもならないくらいなのに。


瑛莉菜がシュンとして小さく謝ると、今度は慰めるように、唇をペロリと舐められた。
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