神様修行はじめます! 其の四

浄火がビクッと震えて唇を離した。


まるで自分のした事に、いま初めて気が付いたような顔をしている。


「あ、里緒・・・オレ、オレ・・・」


「嫌だ! 嫌だ! 嫌だーーー!」


あたしは泣きながら叫び続けた。


心は、こんなにも深く傷付いているのに。


これほどの失望を訴えているのに。


なのに、あたしの声はまるでガラスを掻く音のように細かった。


その事が、さらにあたしを傷つける。


見たくないのに。


見られたくないのに。


なぜあたしの両目は門川君を見てしまうの?


まるで無実を訴える罪人のように。


「うっ・・・うぅ・・・か、門川く・・・」


しゃくり上げてボロボロ泣き続けるあたしを見つめる、門川君の両目は・・・


完全に焦点を失っていた。


―― ピシッ・・・


虚ろな顔で棒立ちする彼の頬に、白い霜が走った。


―― ピシッ パチ・・


彼の肩に、袴の裾に、次々と霜が音をたてて走る。


足元からは、霧のように薄く煙る冷気がブワリと巻き上がった。


ドライアイスで急速冷却されたように、彼の周囲の地面が白く煙りながら凍り付いていく。


それは見る間に彼を中心に、同心円状に広がって


そして・・・・・・


―― ドォーーー・・・ン・・・!


予期せぬ鳴動と共に、世界が極寒の白に染まった。

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