神様修行はじめます! 其の四
服にも、手の表面にも真っ白な霜が貼り付いている。
あたしは冷凍食品みたいになりながら、なんとか生きた状態で門川君の元へたどり着いた。
「かど・・・か・・・」
でも息ができない。気管が呼吸の機能を果たしてくれない。
酸素不足で目の前が霞んでいる。
自分の凍死を目前にして、呼吸もできないのに、なぜかあたしは恐怖を感じなかった。
たぶん感情を司る脳の部位が、異常を起こしてるんだ。
意識の糸がプツプツと、頼りなく途切れていく。
あぁ、なんだか、よく分からない。
氷が冷たい事も、すごく寒い事も、苦しい事も・・・
理解、でき、ない。
・・・・・・あれ?
あたし、ここで、何して、るん、だっけ・・・?
ここ・・・・・・
どこ・・・・・・?
そこまで考えて、あたしの思考と動きはついに停止した。
グッタリと力尽き、目を閉じて弛緩する。
固くて真っ白な氷の床は、待ち構えたようにあたしの体と意識を包み込んだ。
すごく、眠い・・・。
頭の中も心の中も真っ白で、なんだかとても静かで穏やか。
澄み切ってる。真っ白だ。
ほら、真っ白だね。
何もかも、一点の染みも曇りも無い、純白の・・・
まっさらな、子どもの心のような・・・・・・
・・・・・・・・・・・・。
『門川君』
その名が、停止したあたしの全身にほんの一条の光を灯した。
(門川君。門川君)
彼の名前と存在だけが、あたしの心を支えていた。
あたしの死にかけていた目が、彼の姿を見たい一念で動き出す。
そして目の前の、立ちすくむ彼を見つけた。