神様修行はじめます! 其の四

「ねぇ門川君、聞いて」


彼にあたしの声が聞こえているかどうか、分からない。


でも、あたしは言いたかった。言わずにはいられなかった。


「あたしも、とても醜い人間なんだよ」


だって。だってね、門川君。


苦悩するあなたの言葉を聞いて、あたしは・・・


「寒さも感じないほど、今、幸せに満たされているから」



身悶えるほどの嫉妬。


身を焦がすほど深い心の闇。


それは彼が、あたしへの想いに囚われた証。


ずっと望み続けたその証を、あたしは彼の苦悩と引き換えにして手に入れた。


嬉しい。嬉しい。嬉しいの。


門川君の強い苦悩を知っても。


浄火の深い悲しみを知っても。


どうしても、この愉悦を手放すことはできない。


できない。


何よりもそれが、あたしの本音。


ああ・・・あたしも・・・


まぎれもなく醜い人間なんだと、確かに、思う・・・。

< 516 / 697 >

この作品をシェア

pagetop