神様修行はじめます! 其の四

あたしの心はゆったりとした安堵感に包まれた。


やっぱり落ち着く。この風景。


ここにいれば心に余裕もできて、今回の件も冷静に受け止められそうだ。



間もなく屋敷に着いて、あたしたちは牛車を降りた。


さっそくニワトリの鳴き声と牛の鳴き声が聞こえてきて、心を和ませてくれる。


太い立派な桜の木が、いたるところで満開状態。


枝の先まで花を咲かせて、里山に可愛らしい彩りを添えていた。



門川の桜も雅でいいけど、ここの桜もまた、素朴でいい味だなぁ。


あの一面の黄色い絨毯は菜の花畑かな? うわぁ、すごく綺麗!



あたしは上機嫌で、うーんと目いっぱい背伸びをした。


そして清々しい空気を胸いっぱいに吸い込む。


んーーー、爽快! ほんと素晴らしい!



「あー、体中から嫌なモヤモヤが、ぜんっぶ抜け落ちていく気がするー!」


「そうか。そりゃ良かったな」



・・・・・・・・・・・・!


伸びをしたまま、体がビーンと硬直した。


ヒクッと頬が痙攣する。背中に嫌な汗が浮いて、サーッと冷えていった。



まさか・・・まさか、この声って・・・・・・。


ああ、神様仏様。闘神 璃王さま。


どうか、どうかこの声が空耳であってくださ・・・・・・



「おう、待ってたぜ里緒。遅かったな」


「やっぱり浄火ーーー!?」



屋敷の玄関先で浄火が、地面に座り込みながらニワトリにエサをやっていた。


のんきに笑いながらあたしに手を振っている。



「な・・・な・・・なんであんたが、ここにいるの!?」


「信子ババに言われたんだ。まず真っ先に権田原の一族へ挨拶してこいってな」


「バ・・・・・・!」



ババァーーーーー!


こっちの手の内読んで、先回りしやがったなーーー!?

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