泣きたい夜には…~Hitomi~



向井先生との距離が離れていくことに寂しさはない。


むしろ彼の存在が誇らしい。


「やだ先生ったら、赤ちゃんはしばらくNICUで管理することになりますから抱っこは当分お預けですよ。早く奥さんを労ってあげてくださいね」


向井先生は深々と頭を下げると、娘の無事と孫の誕生に感極まって涙に暮れる教授夫人を伴い、分娩室へと入って行った。


「あーーっ、終わった!」


もう一度大きな伸びをして、


「慎吾、一緒に帰ろう?私疲れちゃったから車置いていく……医局に報告とカルテ記入してくるから駐車場で待ってて!すぐ終わるから」


慎吾にそう言うと、ダッシュで医局に戻った。


医局に戻り、カルテ入力をしながら先ほどまでの報告をする。


「ちょっと浅倉、普通は報告といったら入力しながらなんてしないでしょ!!!?

それに、どういうことなのよ!!!?アタシの成瀬ちゃんと付き合っているなんて!!!!」


ものすごい剣幕で小野塚先生のマシンガントークを浴びせられた……。



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