泣きたい夜には…~Hitomi~



「もうっ、静かにしてください、先生!!!!」


小野塚先生の妨害を撥ね退け、カルテの入力が終わった。


嘘……


5分で終えたよ。


新記録達成!!!!


なんて喜んでいる暇はない。


急いで帰り支度をすると、


「お疲れ様でした。お先に失礼します」


医局を後にしようとすると、


「浅倉、今日は本当にお疲れ様。モニター越しに見たわよ、見事な浅倉マジック。よく頑張ったわね」


滅多に聞くことのできない労いの言葉にじわりとくるものが……


「先生……」


必死に涙を堪える私に、


「まぁ、アタシの指導がいいんだから当然といえば当然よね?」


なんて、満面のドヤ顔でお約束とばかりに見事に落としてくれた……。


ははは……。


「はい、私なんかが小野塚先生に敵うわけがないじゃないですか。指導してもらった私が言うんですから間違いありません」


これはお世辞でもヨイショでもなく、本当のこと。


医師のスキルも経験も、まだまだ先生の足元にも及ばないのは事実。



.

< 190 / 286 >

この作品をシェア

pagetop