泣きたい夜には…~Hitomi~



奥さんは笑顔で頷いて、


「この子も……ひとみも頑張っているんですから私も頑張らないと、ですね?


先生、ひとみのこと、よろしくお願いします」


とても前向き発言なんだけど、


「へっ……?」


さっきからひとみひとみって……


私のことではないみたいですが。


「あの、ひとみというのは……?」


まさかね……


そんなことないよね?


あるわけないよね?


嫌な予感でいっぱいの私とは裏腹に奥さんはにっこり笑って、


「はい、娘の名前です。平仮名3文字で『ひとみ』にしました」


あまりの衝撃に、


えぇーーーっ!!!?


恐らく私の顔、ムンクの叫びのようになっているに違いない。


「香澄!いきなり言ったら浅倉が驚くだろ?ほら、固まってるよ……」


向井先生が奥さんの隣に腰を下ろした。



.

< 204 / 286 >

この作品をシェア

pagetop