泣きたい夜には…~Hitomi~



懇願するように頭を下げる奥さんの隣で、


「浅倉、俺が頼める立場にないことはわかっている。だが、俺も香澄と同じ気持ちだ。娘をひとみと呼びたい。

だから、お前…いや、あなたの名前を付けさせてください」


向井先生までが同調するように頭を下げる始末で……。


困ったな……


でも、こんなにお願いされたら嫌とは言えないでしょ……。


「あの……おふたりがどのような名前を付けようと自由だと思うので付けたい名前を付けたらいいと思います。

ただ、私は気が強くて、負けず嫌いで、おまけに泣き虫です。向井先生と別れる時には手形が付くほど思いっきり引っ叩いてしまうくらい激しい性格です。

そんな私みたいな女にお嬢さんがなってしまったらおふたりが苦労することは目に見えています。だから……」



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