泣きたい夜には…~Hitomi~



留学中の2年間、アルコールを口にしたのは数えるほど。


慎吾の


「オッサンかよ、お前は……。」


そう言いたげな冷ややかな眼差しが痛いけれど、飲みたいものは飲みたいんだから、いいじゃないの!!!!


慎吾は笑って、


「了解!」


エンジンスタートさせ、車が走り出すと、


「ひとみの実家は桂川だったんだな……驚いたよ」


ステアリングを握る慎吾の横顔は気にしていない様子だけれど、


「ごめん……」


今まで何も言ってなかったのだから驚くのも無理はない。


「でも、何でお前は浅倉なんだ?」


確かに、疑問だよね?


昔は夫婦別姓だとか離婚しているのでは?なんて思われたことが何度もあったっけ。


「『浅倉』は母方の姓よ。ややこしいんだけど、母はひとり娘だったから父が実家の病院を継ぎながら婿養子に入ったの。だから、病院にいる時だけ『桂川』を名乗っているというわけ」


そう言うと、慎吾は納得したように何度も頷いた。



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