泣きたい夜には…~Hitomi~



店内を見回し、


「うーん、懐かしい」


さっきから同じことを何度も言ってしまうけれど、


日本に帰ってきて本当に良かった。


心からそう思った。


金曜日の夜に個室が空いているなんて、今夜は何てラッキーなんだ。


やっとゆっくり話が出来る。


メニューを開くと、


「うわぁー!食べたいものがいっぱい!!!!」


嬉しくて思わず頬が緩む。


そんな私を見る慎吾の目は温かい。


けど、


「もうっ、何ニヤニヤしているのよ~!」


照れ隠しに可愛げのないことを言ってしまうのは今も同じ……。


「だってお前、全然変わってないから安心したんだよ」


慎吾の言葉に、笑みが零れる。


「慎吾だって変わってない。だから安心した」


料理の注文を済ませ、私はビールで、車の慎吾は烏龍茶で乾杯をした。


乾杯の後、


「お帰り、ひとみ。アメリカ研修お疲れ様」


慎吾に労いの言葉をかけられ、何だか照れくさくて、


「ただいま、慎吾。帰ってきたよ」


そう言うと、一気に喉の奥へとビールを流し込んだ。



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