ツンデレくんに出会いました。
メニューを開く駿哉の指をさりげなく見る。
右手、指輪なし。左手も、なし。
大学時代は暗めの茶髪だったので、黒髪にスーツ姿は5割増しでいい男に見える。スーツマジックすごい。
酒と食べ物を注文し、お互い一息ついたところで、おそるおそる口を開く。
「つかぬことをお聞きしますが、あの、結婚、などは…」
「しとらん」
駿哉が即答して、まっさらな左手を見せてくる。
さっき確認したけど、即答が返ってきてほっとする。
「奈子は?」
「してません」
あたしも左手を見せる。
自分で言ってて悲しい。
飯田 奈子。しがない事務職の31歳。
結婚どころか、ここ10年恋人もいない。男の気配すらない。
2人の飲み物が運ばれてきて、乾杯する。
「テニス部のみんな元気?」
「元気。けっこう結婚しとる」
「そうだよねえ。そういう歳だよねえ」
「人それぞれやろ」
「そういえば、駿哉の職場ってどこにあるの?」
駿哉の口から、聞いたことのある会社名と、ビル名が発せられる。
「そこ、あたしの会社もあるよ」
「もしかして、3階の?」
「そう。うっそー、同じビルにいたんだ」
「まあ、俺が来たの先月やし」
「あ、そうだ、志満ちゃん、今上司なんだよ」
「何それ」
「親会社から出向してきたの。びっくりした」
「世間狭すぎ」
緊張と高揚が入り混じって、喉が異様に渇く。
落ち着いて話せてるかな、変なこと言ってないかなと不安になる。
幼さがすっかり消えた駿哉の横顔を見て、酒が異様においしく感じる。
普段酒をほとんど飲まず、飲み会もほぼソフトドリンクでやり過ごすのに、かなりハイペースで飲んだと思う。
「おい、大丈夫け」
酒が弱いことを覚えてくれていたのか、あるいは駿哉の目からもペースが異常だと写ったのか、駿哉に声をかけられる頃には、へべれけになっていた。
右手、指輪なし。左手も、なし。
大学時代は暗めの茶髪だったので、黒髪にスーツ姿は5割増しでいい男に見える。スーツマジックすごい。
酒と食べ物を注文し、お互い一息ついたところで、おそるおそる口を開く。
「つかぬことをお聞きしますが、あの、結婚、などは…」
「しとらん」
駿哉が即答して、まっさらな左手を見せてくる。
さっき確認したけど、即答が返ってきてほっとする。
「奈子は?」
「してません」
あたしも左手を見せる。
自分で言ってて悲しい。
飯田 奈子。しがない事務職の31歳。
結婚どころか、ここ10年恋人もいない。男の気配すらない。
2人の飲み物が運ばれてきて、乾杯する。
「テニス部のみんな元気?」
「元気。けっこう結婚しとる」
「そうだよねえ。そういう歳だよねえ」
「人それぞれやろ」
「そういえば、駿哉の職場ってどこにあるの?」
駿哉の口から、聞いたことのある会社名と、ビル名が発せられる。
「そこ、あたしの会社もあるよ」
「もしかして、3階の?」
「そう。うっそー、同じビルにいたんだ」
「まあ、俺が来たの先月やし」
「あ、そうだ、志満ちゃん、今上司なんだよ」
「何それ」
「親会社から出向してきたの。びっくりした」
「世間狭すぎ」
緊張と高揚が入り混じって、喉が異様に渇く。
落ち着いて話せてるかな、変なこと言ってないかなと不安になる。
幼さがすっかり消えた駿哉の横顔を見て、酒が異様においしく感じる。
普段酒をほとんど飲まず、飲み会もほぼソフトドリンクでやり過ごすのに、かなりハイペースで飲んだと思う。
「おい、大丈夫け」
酒が弱いことを覚えてくれていたのか、あるいは駿哉の目からもペースが異常だと写ったのか、駿哉に声をかけられる頃には、へべれけになっていた。