ツンデレくんに出会いました。
酔いが全身に一気に回るのがわかって、机に突っ伏した。
駿哉のワイシャツの袖を掴む。

「ごめん、水頼んで…」
「飲み過ぎや」

呆れたように駿哉が呟いて、すみませんと店員に声をかけるのが聞こえた。

「駿哉…」
「ん?」
「彼女、いた?」
「何、急に」

駿哉は記憶にある通り、淡々としている。

「酔った勢いで聞いちゃおうと思って」
「何それ」

駿哉が店員から受け取った水を、あたしの前に置いた。

「いたよ」

静かな声。

「はああ!?ああ…気持ち悪い…」

ガバッと勢いよく頭を上げた途端に、頭の奥が鋭く痛んで、うなだれるようにまた机に突っ伏した。

「あほや」

くつくつと駿哉が笑って、あたしの頭に手を置いた。
触れたところが、どくりと脈を打つ。

「駿哉に彼女…負けた。ものすごく死にたい」
「お前は俺にいつ勝ってたんや」

あたしはのろのろと頭を上げて、なんとか水を食道に流し込む。

「じゃあ、奈子はいなかったんやな」

特別驚く様子もなく、駿哉が独り言のように呟いた。
あたしは黙るしかなかった。
合コンも、街コンも、マッチングアプリも、全部めんどくさくてやらなかった。正確にはアプリは始めて二日で退会した。
そうか、駿哉はあたしと別れてから、ちゃんと彼女がいたのか。
コップの底に残る水をぼうっと眺める。体や頭の中に鉛を入れたように全身が重い。
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