ツンデレくんに出会いました。
マフラー事変
駿哉に看病してもらい、夜中に目覚めたあたしはタクシーを呼んでもらって家に帰った。

『熱下がってるかもしれんけど、明日は休めよ』
『あの、駿哉…』
『すみません、お願いします』

あたしの声を遮るように駿哉が運転手に声をかけて、タクシーのドアが閉まった。
駿哉の言いつけ通り、次の日は仕事を休んで一日中寝た。
なんでこんなに優しくするのかと、熱が残る頭でぐるぐる考えても答えは出なかった。
数日後全快したので、小籠包がおいしいと聞いたお店に、志満ちゃんと一緒に来た。

「待って。いつの間にそんなことになっとんの」
「いや、あたしも、わけがわからなくてですね…」
「中出が同じビルにおる? 奈子が中出の部屋に2回行った? そんで2回とも何もない?」
「あの、はい…」
「なんで私に早く教えてくれなかったの?」
「いや、その、隠してたわけではないけど、付き合ってないしなと思ったり…」
「大学時代あれだけ中出の話を聞いた私に、何も話さないってひどくない!?」
「それは本当に申し訳ない…」
「私の奢りや。全部吐きなさい」
「志満ちゃーん」

駿哉の話をちらっとしただけでこの反応である。
そして、再会してからのことを洗いざらい吐いてしまった。

「それにしても中出がねえ。世間狭いなあ」
「駿哉も言ってた…」
「で、まだ付き合ってないと」
「今更告白もできず…」
「それはせんなん、何も始まらんやろ」
「その通りでございます」

何も考えずに小籠包を丸ごと口に入れてしまい、口の中で熱いスープが弾ける。
吐き出せず、口の中の熱さに悶えた。
涙目で小籠包を咀嚼し飲み込むと、志満ちゃんが水をくれた。

「大丈夫け?」
「だ、大丈夫…」

水を飲んで、ため息が漏れる。
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