ツンデレくんに出会いました。
今日がクリスマスだと気づいたのは、駅前のケーキ屋さんに着いてからだった。
そう気づくと周りから感じる幸せオーラに帰りたくなるも、レジまであと2人というところまで来ていて、今更離れるのも癪だった。

『駅前のケーキ屋さんのチーズケーキ買えた。マフラーも返したいし、寄っていい?』

ケーキを買って駿哉に連絡したら、来ていいとすぐに返ってきた。
駿哉が甘いもの好きでよかった。
部屋のチャイムを鳴らして出てきた駿哉は、スウェットで眼鏡だった。
駿哉は大学時代普段コンタクトで、たまに眼鏡をかけていた。今も変わっていないはず。
眼鏡姿を久しぶりに見て、脳内で悶えてしまった。

「メリクリ」

なんだか恥ずかしくて、素っ気ない声が出た。
「…ああ」と、駿哉も今気づいたような声を出した。
駿哉の気持ちはわからないまま。
(ぬか)に釘、豆腐にかすがい。結局何も掴めない。
クリスマスに一緒に過ごす相手は、少なくとも今年はいないということしか知らない。
玄関に入って鍵を閉めると、駿哉の指が伸びてきて、あたしの頬に触れた。

「冷て」
「ここ数日で一気に冷えたね」

突然感じた駿哉の温もりに暴れだす心臓を、素っ気ない声で必死で隠した。
駿哉の温もりが、頬から消えない。
いっそ突き飛ばしてくれたらいい。一瞬で諦めさせてくれたら、もう付きまとわないのに。
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