ツンデレくんに出会いました。
「駿哉は警戒心がないよね…」
「何が?」
「あたしに襲われても文句言えないよね」

駿哉が警戒して身構えると思った。そしたら、あたしも冗談と笑ってやろうと思った。
でも駿哉は顔色一つ変えずに、わずかに首を傾げた。

「別にされても困らんし」
「え…?」

何を言っているのか。
顔の熱が収まらない。それどころか、体まで熱くなっている。
襲っちゃった方がいいのかと考えたところで、駿哉がビールの缶をテーブルに置いて、あたしに近づく。
思わずお尻で後ずさりしていた。

「逃げんな」
「え、これ、あたしが襲う方じゃないの?」
「したいならどうぞ」
「いや、あの、なんで駿哉が近づいてるの…」
「さあ」

とん、と背中が壁に当たる。
駿哉があたしを見下ろしている。
デジャブ。
また追い詰められてしまった。

「駿哉、冗談って…」
「そもそも奈子こそ警戒心なさすぎやろ。男の部屋に入る意味わかっとる?」
「だって、ずっと何もなかったし…」
「酔っ払いや病人に手出すわけないやろ」

背中に手を回して、引き寄せられる。
思わず体を固くしてしまった。
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