ツンデレくんに出会いました。
次の週の昼休み、電話をかけた。

『何?』
「こないだのお礼したいから、ご飯行かない?」
『お礼?』
「泊まらせてくれたし」
『いいんに、そんなん』
「まあまあ、そう言わず」
『…もしかして会いたいんけ?』
「そう聞こえたなら、そういうことにしといて」
『今日は先約あるから明日な』
「おっけーじゃねー」

電話を切ると、思わず顔をしかめてしまった。
ばれてる。
声を聞いただけで、顔が熱くなっている。

「奈子、彼氏?」

恨めしそうにスマホを見つめていたら、そばにいた上司の加山(かやま) 志満(しま)に話しかけられた。
志満ちゃんは大学時代の友達で、今年度だけ親会社から出向してきた。
あたしは卒業ギリギリで内定が決まったので、志満ちゃんがあたしの会社の親会社に就職したのも知らなかったし、10年後に期間限定とはいえ上司になるとも思わなかった。

「いえ、友達です」
「男やったらそんな顔せんもんね」
「あたし、そんなにひどい顔してた?」
「だいぶ」

さっきの会話を聞かれていたかもしれないと、とっさに笑ってみせる。
さすがに駿哉と再会したとはここでは話せない。

「彼氏ができたら教えてね」
「志満ちゃんが帰るまでにできるか怪しいです」

ごまかすことばかりを話すような、こんな大人になりたかったわけじゃない。
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