黒愛−2nd love−
叶多くんの綺麗な顔が歪んだ。
不機嫌になり、ジロリと生徒会メンバーを睨みつけてから、
唯一席から動かない三ノ宮沙也子に言った。
「沙也、こいつら黙らせろ。
うるせぇ」
沙也……?
その呼び方に、ピクリと反応した。
“沙也子”ではなく“沙也”と呼ぶ彼。
愛称で呼ぶほど親しいのだろうか?
そう言えば、三ノ宮沙也子も、
彼を“叶多”と呼び捨てにしていた。
この二人の関係は、一体……
私に対する批判より、そっちに意識が向いてしまう。
嫉妬の気持ちが湧いて、振り向いて沙也子を睨みつけた。
彼女が立ち上がる。
ゆっくり歩いて私の横に並び、
眼鏡の奥の綺麗な瞳を狭めて、敵意を向けてきた。
「私も反対よ。
中野桜子さんに下した処分を変える気はないけど、後任の人選は良く考えるべきだわ。
叶多と愛美さんの間に、一体何があったのか……
そんなこと知りたくもないけど、
学園運営に私情をはさむのはやめて」